【講義】12/22 第11回交通サービス概論
第11回 交通サービス概論 担当:平野典男
外部講師:一般社団法人沖縄県ハイヤー・タクシー協会 事務局長 津波古修氏
第11回は、一般社団法人 沖縄県ハイヤー・タクシー協会事務局長の津波古修様から「人にやさしいタクシーとは?」というテーマでお話を伺いました。
まず、タクシー業界全体の課題として、1)運転手不足とその高齢化、2)コスト高、3)レンタカーや代行業者との競合、4)白タク行為の横行、などがあるということでした。特に沖縄では、タクシー台数が約3,500台に対し、レンタカーは夏場のピーク時には約4万台もあり競争が厳しいことや、一部の代行業者による白タク行為等の課題があるそうです。
次に、改正タクシー特措法についての説明がありました。平成14年の規制緩和以降、タクシーの輸送人員、1両あたり売上、車両台数はいずれも減少し、市場規模の縮小が続いたそうです。こうした事態を受け、平成21年に旧タクシー特措法、平成26年に改正タクシー特措法が施行され、需要活性化策を講じることになりました。改正タクシー特措法では、供給過剰対策が必要な特定地域や準特定地域が指定され、新規参入や増車、運賃の設定などに一定の規制措置が講じられています。沖縄本島は準特定地域に指定されており、指定後の需給状況やドライバーの労働環境の変化等について現在検証中であるとのことです。
このように多くの課題を抱えるタクシー業界ですが、東京オリンピックを控え、世界水準のサービス・運賃をめざし、様々な取り組みも進めているそうです。1)初乗り距離短縮運賃の導入、2)配車アプリを使ったタクシーシェア、3)事前確定運賃、4)ユニバーサルデザイン(UD)タクシーの導入、5)サービスの多言語化、6)2種免許の条件緩和、7)過疎地域の乗合タクシーなどの取り組みがあります。東京で導入した初乗り距離短縮運賃(2KM730円→1KM410円)については、利用者も運送収入も増加し一定の成果を挙げているそうです。沖縄でも、初乗り距離短縮運賃の導入を求める利用者の声もあるようですが、沖縄の実情に合わせて導入効果があるのかまだ検討中とのことでした。
これらの説明のあと、UDタクシーの動画をみました。欧米では既に普及が進んでいるのに対し、日本はまだまだこれからとのことです。動画では車椅子を横から載せるタイプと、車の後部から載せるタイプの2種類を見ました。車いすの固定やシートベルトの装着までの手順はかなり複雑な印象を受けましたが、こうした手順がスムーズに実施できるよう、ユニバーサルドライバー研修についても力を入れているとのことでした。
津波古事務局長は、前職がホテリエであったことから、接客業で培ったノウハウをタクシー業界にも浸透させていきたい、高齢者、障害者、外国人を含む全てのお客様に感動や喜びを与えたい、と願っているとこのことで、ご自身が見聞されたタクシーでの感動体験について語っていただきました。
これらのエピソードから、沖縄県には、ただお客様を目的地に運ぶだけでなく、おもてなしの心を以て様々な創意工夫をしているタクシードライバーが大勢いらっしゃること、そしてタクシー業界全体で積極的にサービス向上に努めておられることが分かりました。
文責:観光産業科学部 教授 平野典男
【講義】12/8 第9回交通サービス概論
第9回 交通サービス概論 担当:平野典男
外部講師:ツアーコンダクター 糸澤幸子氏
今回は、ツアーコンダクターとして海外をまたに活躍し、クルーズ船の添乗も数多くされた糸澤様をお招きし、クルーズ観光の魅力についてお話いただきました。
世界のクルーズ市場はカリブ海がメインで、続いて地中海、近年はアジアも人気になっているということでした。クルーズ船の会社ごとの船の特徴や大きさなどの解説があり、大型船、中型船、小型船によるクルーズのDVDを見せていただきました。
大型船クルーズは、ロイヤルカリビアン社のハーモニーオブザシーズの旅で、18階建ての船舶は、動くリゾートタウン、洋上のパラダイスというコンセプトで、ウォータースライダー、メリーゴーランド、ロッククライミング、ロボットがお酒を作ってくれるバイオニックバー、展望ジャグジー、内側の船室にはバーチャルバルコニーなどがある史上最大級22万トン、定員5,494名のクルーズ船で、まさにリゾートタウンがそこにありました。
中型船クルーズは、MSCのスプレンディダ(13万トン、定員4,363名)は、アクアパーク、4Dシネマ、ローマ式ウォータートリートメント、カジノ、F1シミュレーターなどがあり、MSCヨットクラブというプライベートクラブはさらに優雅でラグジュアリーな施設を利用できるため、1つの船にカジュアルもラグジュアリーもあるという船舶だそうです。
小型船クルーズは、ICMのアリア・アマゾン(500トン、定員32名)の、アマゾンクルーズの紹介でした。五つ星のサービスを提供され、お客様1人にスタッフ1人という割合なので、サービスも行き届き、秘境アマゾンを快適にめぐるクルーズということでした。小型船は揺れがちですが、アマゾンは川ということもあり、海ほどは揺れないのだそうです。
続いて、高額だと思っているクルーズ船のお得な乗り方を教えていただきました。日本初上陸の外国船などは料金を下げている場合もあり、実際の旅行プランを見たところ、手が届く金額であることが分かりました。
クルーズ船のメイン市場であるカリブ海クルーズは、fly&seaという制度が発達しており、クルーズ会社が航空券も手配をし、空港でチェックインをすると、荷物はクルーズ船の客室に届いている仕組みなどが確立されているそうで、便利さもあり、海外ではクルーズ船の市場が発達しているということも分かりました。
文責:観光産業科学部 宜志富知恵子
【講義】12/5 第10回国際物流概論
第10回 国際物流概論 担当:知念 肇
外部講師:琉球海運株式会社 特別顧問 寺内昌弘氏
今回は、「海運の現場と求められる人材」について、琉球海運株式会社 特別顧問の寺内様を東京よりお招きし、講話いただきました。
まず、ネット通販の商品が届くまでにどういう経路をたどり消費者に渡り、そこにどういう手続きやどういう運賃がかかっているかの説明がありました。ポチっとしたら届くまでに多くの手続きがあることが分かりました。
続いて海運の現場力として、コンテナ船が登場した経緯、コンテナリゼーションによる物流革命により発達した海運の歴史、コンテナ船にはガントリークレーンなどの荷役設備が必要になるというデメリットを回避するためのRORO船、RORO船のメリットとデメリット、RORO船によるシームレス輸送が可能になったことによる更なる物流革命について説明がありました。
島嶼県の輸送については、物資の安定輸送だけでなく、ライフラインの維持、災害時の対応、地域の活性化なども物流業の役割としてあり、船舶には島嶼県に必要な要件があるということや、船舶の国籍によるカボタージュという制限や、課税項目も分かりました。
東日本の震災時には、250km離れた京浜港でさえ、多くの外国船が不寄港となったことを考えると、現在日本にある原発から250kmの圏内には、日本列島の大半が入ってしまうため、外国企業に依存していると、有事の際には供給が途絶えるということも分かりました。
2回に渡る琉球海運株式会社の講義で、琉球王国の時代から今に至るまでの沖縄の物流について学ぶことができました。
文責:観光産業科学部 宜志富知恵子
【講義】12/1 第8回交通サービス概論
第8回 交通サービス概論 担当:平野典男
外部講師:郵船クルーズ株式会社 アスカクラブ会長 幡野保裕氏
今回は、前日の飛鳥Ⅱの見学に続き、郵船クルーズ株式会社 アスカクラブ会長の幡野様から、クルーズについての講義をいただきました。
クルーズの歴史、クルーズ商品の特徴と魅力、クルーズ業の収益構造、客船の特性、世界のクルーズ事情、クルーズ船のカテゴリ、世界の客船情勢、近年伸びが著しい中国のクルーズ、新造船について、日本のクルーズマーケットと可能性、日本のクルーズの現状についてお話がありました。
クルーズ船には、食事、娯楽設備(ジム・プール・テニスコート・カジノ・映画館等々)、エンターテイメント、寄港地でのツアー、ホテル設備、エステ・美容院、診療室など多くの施設があることから、サービスのプロだけでなく、医者、看護師、美容師、電気、ガス、水道、生花のケア、木工品修理など多種多様な人材が必要であり、相互補完的サービスの集合体であるということが分かりました。
沖縄では那覇港によくクルーズ船が停まっているので、寄港数が多いということは分かっていても、その船内でどういうことができ、どういう生活があるのかまでは知らない学生が多く、「移動手段ではなく、移動そのものを楽しむ」ということが理解できたことで、イメージが変わったようです。
文責:観光産業科学部 宜志富知恵子
グローカルサービス経営入門 報告会開催について
この度、本事業において開講した、1、2年生対象の講座「グローカルサービス経営入門」において、報告会を開催することとなりました。昨年度より、サービス産業の基礎を現場から学ぶことに重きをおき講義と施設見学を実施しており、今年度は、沖縄ツーリスト株式会社、株式会社かりゆし、日本トランスオーシャン航空株式会社、株式会社沖縄ファミリーマートの4社の協力のもと、11月に講義並びに施設見学を行いました。その後、学生たちが調査を実施し、現場から見えた気づきや課題などについて、ご協力いただいた企業をご招待し、学生の視点から発表いたします。
記
1.報告会名:「グローカルサービス経営入門 報告会」
2.日 時:平成29年12月16日(土)10:00~12:00
3.会 場:琉球大学 法文新棟111教室
4.プログラム:
・挨拶:下地芳郎 琉球大学観光産業科学部長
・学生発表:琉球大学観光産業科学部 グローカルサービス経営入門受講生23名
・総 括:上地恵龍 琉球大学観光産業科学部客員教授
JAL公式HP内「旅コラム」
日本航空の公式HP内のコンテンツ「旅コラム」に、8月に、東洋大学との合同インターンシップで企画した(現在販売中!)5つの滞在型旅行商品のうち、「琉球グラスで飲もう!3酒造巡りツアー」が紹介されました。
日本トランスオーシャン航空の客室乗務員の方が、実際にツアーを体験し、レポートしてくださっています。
こちら↓からご覧ください!
https://tabi.jal.co.jp/tabicolumn/2017/12/ca171207.html
11/30 クルーズ船「飛鳥Ⅱ」見学(交通サービス概論番外編)
12/1の交通サービス概論の外部講師である郵船クルーズ株式会社 アスカクラブ会長の幡野様から、ちょうど那覇港に郵船クルーズが所有しているクルーズ船「飛鳥Ⅱ」が停泊中ということで、見学させていただけることになりました。幡野様は飛鳥Ⅱの5代目の船長さんで、今回は、スタッフの皆様と元船長のアテンドという、贅沢な見学になりました。
他の講義との兼ね合いもあり、14名の学生が参加しました。一歩船内に入ると、全面クリスマス仕様になっており、大きなツリーが迎えてくれました。メインダイニング、ショップ、シアター、娯楽ルーム、シガールーム、図書室、ステージ、デッキ、プール、ジャグジー、カフェ、レストラン、スパ、ジム、カジノ(日本では現金をかけることはできません)、ラウンジ、テニスコート、客室フロアと、もはや「町」といえる船内を案内いただきました。日数の短いクルーズでは、船内全部回りきらないのではないかとさえ感じました。
今回は、航海士の方が、本学に以前通っていたというご縁で、ブリッジにも入れていただき、機材や海図について説明を受けました。海図といえば、台の上にひろげられた紙の海図を思い浮かべますが、それも使われていますが、今は、デジタルな海図もあり、現在地から遠い地方の海図も表示されるのだそうです。説明いただいている間にも、何回か連絡が入って計器を確認されており、停泊中といっても業務があるということが分かりました。
また、乗船されているお客様が残っている中の見学でしたが、幡野様が顔なじみのお客様たちに、「地元沖縄で観光について学んでいる大学生の見学」と説明しながらアテンドしてくださったので、おくつろぎのところでしたが、話かけてくださったりもしました。他のお客様への配慮の仕方がスマートで、勉強になりました。最高のサービスを提供しているところだと感じました。
文責:観光産業科学部 宜志富知恵子
【講義】11/26 集中講義グローカルサービス経営入門③
集中講義 グローカルサービス経営入門 担当:上地恵龍
集中講義3日目です。沖縄ファミリーマート株式会社、日本トランスオーシャン航空株式会社による講義・施設見学を行いました。
まずは、学内で沖縄ファミリーマート株式会社総務人事部長大山様より、講義です。沖縄ファミリーマートのグローバルの側面と、ローカル(地域密着)の側面からお話いただきました。
主にアジアに向けてグローバル展開をしていますが、敢えて海外向けの商品ではなく、沖縄で作った沖縄の物をアジアで販売しているそうで、ファミリーマートブランドのオリオンビール、沖縄明治乳業とコラボしたアイスクリームなどが台湾3000店のファミリーマートで販売され、人気商品になっているということでした。
地域密着という点では、県内ニーズを徹底的に調査し、沖縄ファミリーマートの独自商品開発をしているそうで、沖縄ファミリーマートから全国のファミリーマートに広がった「ファミチキ」は、沖縄のフライドチキン文化の表れだということでした。
毎年ファミリーマートで実施している「学P」についてもお話がありました。こちらは、大学生が商品開発・販売促進を体験するもので、学生プロデュースの学ぶプログラムということで、本学でも産業経営学科の3年次インターンシップの一環で取り組んでいます。
沖縄ファミリーマートの歴史、りうぼうグループについて、小売業の形態・経営について、沖縄ファミリーマートがスポンサーをしている各種競技について、沖縄ファミリーマートが目指すものなどの説明があり、「あなたとコンビに」という通りお客様の身近でありつづける姿勢が分かりました。
続いて、日本トランスオーシャン航空へ移動し、今回は、客室乗務員研修でも行われている、サービス・ホスピタリティ研修を体験しました。客室乗務員になるためにどういう訓練をしているのか、成長するには何が必要か、接客5原則、第一印象の重要性、お辞儀の仕方、話し方、サービスとホスピタリティの違いなどを教わりました。そこで、シチュエーション別にお客様にどういうお声かけをするかというロープレを2人1組で行いました。お客様が何をしているかだけでなく、安全のためにどういう声かけが必要かなども分かり、細やかな気配り、気づきが必要だということが分かりました。
次に、モックアップで、機内アナウンスとドリンクサービスを体験しました。アナウンスは原稿を読んでしまうと目線が下を向き笑顔がなくなってしまいます。ドリンクサービスも、お客様の設定をビジネスマンとお子様をお連れのお母さんの2つ設定し、それぞれについて、どういう対応をするか考えながら体験しました。お客様に正対する時に笑顔でも、ドリンクを用意している間に笑顔が消えてしまうなど、笑顔でいることの難しさも分かりました。
最後に、緊急脱出訓練を体験し、救命胴衣の着け方や、翼から非難するときの注意事項、水中着陸した場合、外にでてからの注意事項などを教わりました。客室乗務員はサービスのプロフェッショナルであることと共に、安全・安心にも目を配る必要があるということも分かりました。
文責:観光産業科学部 宜志富知恵子
【講義】11/25 集中講義グローカルサービス経営入門②
集中講義 グローカルサービス経営入門 担当:上地恵龍・下地芳郎
集中講義2日目です。沖縄ツーリスト株式会社と株式会社かりゆしを訪問しました。集合時間は8時でしたが、遅刻が5名(24名中)と、近年稀に見る多さに閉口しました。予定していた行き方では間に合わないため、急遽高速を利用してなんとか間に合いました。
バス内では、事業概要の説明などを行いましたが、合わせて、なぜ時間を守る必要があるのかということについて、過去の経験談を含め説明しました。産業界と連携して開講しているため、「学生だから」という理由は通用しませんし、人として当たり前のことを当たり前にできるようになって欲しいと思います。
さて、講義は、まずは沖縄ツーリストを訪問しました。マーケティング戦略室長 執行役員の安部様と、レンタカー部課長の島袋様にお出迎えいただき、沖縄ツーリストの旅行ビジネスとレンタカービジネスの概要、沖縄ツーリストが取り組んでいる地域主導型観光について、旅行会社の存在意義、OTA(Online Travel Agent)について、レンタカーを借りる外国人観光客への安全対策、これからの観光産業がどうなっていくのか、それに対し沖縄ツーリストが何を取組んでいくのかなど、お話いただきました。
続いて、OTSレンタカーの豊崎営業所へ移動し、洗車場、整備場、返却口、貸出窓口、バックオフィス(予約部門)、実際に貸し出している車両や、福祉車両、キャンピングカーを見学しました。
一路、名護のかりゆしビーチへ移動し、セールス&リザベーション事業本部マーケティング販売部WEBセールス支配人の下地様に、グランピングのテントを案内いただきました。この見学のために、2時間かけてテントを設営してくださったそうで、グラマラスなキャンプであることがよく分かりました。グランピングのコンセプト、天候への対応の仕方、緊急時の安全対策、売上などについてお話いただきました。
次に、金武町にある「かりゆしコンドミニアムリゾート金武 ビーチサイドハウス グラシア」にバスで移動し、3階建てのコンドミニアムを見学しました。コンドミニアム事業部マネージャーの上里様にご案内いただき、学生からの、コンドミニアムを利用される客層、宿泊数、コンセプト、オーナー側がコンドミニアムにする際に行うことや、オーナー側にとってのメリットなど多岐に渡る質問にも、丁寧に回答いただきました。
この講義の最終回は、各企業の方をお招きした学生のプレゼン発表を行うことになっているため、質問する学生側も必死で、多くの質問が飛びかいました。
文責:観光産業科学部 宜志富知恵子
【講義】11/23 集中講義グローカルサービス経営入門①
集中講義 グローカルサービス経営入門 担当:上地恵龍
1、2年次の学生を対象とした「グローカルサービス経営入門」が今年も始まりました。この科目は、サービス産業の基礎について、現場から学ぶというもので、今年は、沖縄ツーリスト株式会社、株式会社かりゆし、株式会社沖縄ファミリーマート、日本トランスオーシャン航空株式会社の4社のご協力をいただき、講義と施設見学を行います。11/25、26の2日間で各企業による講義、施設見学を行い、その後各チームごとに、調査などを実施し、12/16に各企業を招いて報告会を開催します。
初日は、3限、4限でオリエンテーション、チーム分け、担当企業決定、各企業の概要や取り組みと、各産業の背景、沖縄県の観光について講義を行いました。
5限は、本学のOG2名がボランティアで参加され、グループワークを実施しました。
文責:観光産業科学部 宜志富知恵子