【講義】6/15 第9回通訳サービス概論
2016.06.16
第9回 通訳サービス概論 担当:下地芳郎 大城明緒
まずは、第7回宿題「宿泊施設でのうれしかった対応、こまったこと」についての講評から始まりました。
困ったことは、Wi-Fiについてが多く、使えない・パスワードが分からない・有料ということでした。提案として、パンフレット、リーフレットの多言語表記、パンフレット、食事の説明のイラスト化、写真の活用、外国語対応ができるスタッフの常駐・育成、Wi-Fi設備の改善、ホテル送迎時や移動手段のサポートなどがありました。
Wi-Fiについて、沖縄セルラーが外国人観光客を対象にしたサービスを7月より開始するというニュース、NTTグループ、情報通信総合研究所、那覇市、沖縄市、沖縄大学の5団体が統合Wi-Fi導入に向けた実証実験を開始するというニュースをとりあげました。
Wi-Fiは他の講義でも、沖縄観光の課題にあがっていましたが、できればサービスは統一してほしいところです。
前回の学生のコメントシート(大福帳)からは、
・お客様必要な情報を過不足なく伝えることを意識する。迷ったら、一番大事な情報だけを伝えることに専念する。
・アナウンスは耳から入るので、シンプルな単語、長すぎない文章を心がける。(関係代名詞まみれの長文にしない)
・日本語で考えた文章を英語にするのではなく、最初から英語で考えて話を組み立てるのも1つの方法。
・お客様に覚えてもらうために、名札を見やすくしたり、目立つ服装にしたり、目印になるものを身に付ける。
・ツアー中のトイレ対応について、緊急を要する場合は、一般道ならコンビニ、高速ならSAに向かってもらう。
・自由時間中の対応として、様子をみながら、グループの中であまり積極的でないお客様に個別に声をかける。(ただし、同じ方につきっきりにならないように)
・プロのバスガイドさんのアナウンス、ふるまい方は勉強になるので、日帰りバスツアーに参加してみるとよい。
・お客様へ注意をする場面として、「撮影禁止」「喫煙禁止」など禁止されていることは、その旨をはっきり伝える。(ただし、命令口調にならないように)
・撮影禁止を伝えた場合、撮影許可された場所に来たときはそのことも伝える
というアドバイスがありました。
今回のメインテーマは「交通に対する対応」ということで、外国人観光客の移動手段について、解説がありました。
①レンタカー
運転できる国が限られている。第二種免許を持たずにガイドの運転でお客様を乗せることは違法。(お客様が運転する車に同乗してのガイドは可)
②ハイヤーとタクシーの違い
タクシーメーターがあるか、ないか。ハイヤーは完全予約制で、格式が重んじられる状況で利用する。
③通訳ガイドの着席位置
原則、助手席(運転手とも相談しやすい。)ただし、ミニバンタイプでお客様の数が少ないときなど、ガイドとお客様が面と向かって会話をしたほうがいい場合はその限りではない。
お客様の足が不自由な場合などは、安全管理を最優先して考える。
ビジネスマナーとしての原則を頭にいれつつ、お客様の要望に沿って対応する。
④貸し切りバス
ガイド専用席があるが、基本は立っている。ただし、高速道路は必ずシートベルトをして着席すること。
運転席側の最前列は、体が不自由な方のためのReserved Seatとするケースが多い。
ガイドの荷物は、座席に余裕があれば、左側の最前列に置くことができる。
配布する資料は冷蔵庫の上に置くと使いやすいが、お客様の目にもふれるので雑然としないようにする。
出発前・走行中・終了後の注意事項についても説明がありました。
⑤路線バス
地元の雰囲気を楽しみたい、時間を気にせずのんびり移動したいというお客様は、積極的に利用する。
県内の路線バスは、英語のアナウンスは増えているが、時間通り運行しているとは言い難く、路線も複雑で観光客にはわかりづらい。
中国国内でのみ販売されている「手ぶら周遊観光・1日フリー乗車券」というのがあり、ゆいレールと沖縄バス首里城下線1日乗車券で、4600円。購入したお土産はヤマト運輸がホテルへ配送するサービス付きというもので、レンタカーを運転できない中国本土の旅行客に公共交通機関利用の観光プランを推進している。
⑥電車
基本的に全国どこでも時刻通りに運行。県内のモノレール(ゆいレール)は英語日本語のアナウンスと、日本語・英語・中国語(繁体字・簡体字)・韓国語の案内表示あり。
人数が多いと団体管理が難しい。足の不自由な方を含め全員が座れるとは限らない。
次に運転手との連携について説明がありました。
運転手と信頼関係を築き、連携してツアーを進めることが大事。添乗員がいる場合には、ガイド・運転手・添乗員の3者で連携する。
個人旅行・手配旅行の場合には、ガイド自身が必ずハイヤー会社及び運転手本人に配車確認の電話を入れる(前日まで)。
ツアー開始前に打合せを行う:自己紹介、連絡先交換、行程の確認。
ツアーの始めに必ず運転手をお客様に紹介する。
集合時間・場所の決定・変更は随時知らせる。 ということでした。
グループディスカッションは、「日本人向けの定期観光バスツアーを、英語対応可能なツアーにグレードアップするとしたら、どんな工夫が必要になるか」というテーマでした。この背景には、県内では、外国語による定期観光バスは運行していないのにもかかわらず、日本人向けの定期観光バスを「観光地への昼食付きの往復の交通手段」として利用する外国人観光客が多いというのがあり、日本人向けツアーの英語対応の仕方を考えました。
学生からは、
・バスガイドさんとは別に英語対応のガイドをつける
・英語対応できるバスガイドを育成する
・あらかじめガイドの話の英語版を録音してバス内で流す
・ガイドの話に合わせて、音声とスクリプトが流れるアプリの開発
・イヤホンを渡して、同時通訳をきいてもらう
・ガイドの話を英語の資料にして配布、バス内は日本語アナウンスのみ
・予約の時点の外国人の人数によるが、少人数なら、パンフレットの英語対応、音声ガイドで乗り切る
・外国人観光客が自分で調べられるように、Wi-Fiを使用可能にする
などのアイデアがでました。
文責:地域連携推進課 宜志富知恵子