【講義】11/11 第6回交通サービス概論
2016.11.15
第6回 交通サービス概論 担当:平野典男
今回は、規制緩和とLCCの誕生ということで、航空業界にある規制とその緩和、LCCが生まれた歴史について学びました。
航空業界には、量的規制と質的規制があり、この業界への参入退出、価格、質の維持、資格など多くの規制があり、マーケティングの大事な要素である、価格や場所が自由に決められないということでした。
そもそも第一次世界大戦後に、空にも国境同様に境が必要だということで、「領空」という概念が誕生し、1945年に国際民間航空条約(シカゴ条約)により国際航空を規制する条約ができ、領空主権・カボタージュ(外国航空機による国内運送)の留保などが決められ、さらに、定期航空業務にて相手国の別途の許可が求められたことから、米英のバミューダ―協定をモデルにした二国間航空協定により、定期航空路線の就航を認める条件について定められているそうです。
日本では、第二次世界大戦に敗戦したことにより、航空機保持が禁止され、現存する航空機も破壊されたりしたため、航空産業が発展していなかったということがあり、45・47体制として、航空産業の保護育成のために、事業分野の棲み分けが実施されたそうです。
航空業界の規制緩和は、国内市場の拡大で成長してきた資本主義が、1970年代の石油ショックで停滞、下降したことから、市場を国内から海外へと求める動きがあり、企業が世界的に活躍できるように規制緩和につながったということでした。
アメリカでは1978年航空企業規制廃止法が成立し、それにより、36社だった航空会社が
最盛期には210社、1996年には97社になっているそうです。規制緩和により既存の航空会社に新たなビジネスモデルができ、ハブ&スポーク、CRS(computer reservation system)、FFP(frequent flyer program)などがその例として挙げられるそうで、それぞれの特徴について解説がありました。
続いて、アメリカのサウスウエスト航空を取り上げ、その戦略、顧客セグメント、合理化、従業員第一主義などのコーポレートアイデンティティなどについて、説明がありました。
LCCは、
・単一機種による多頻度運航
・二次空港の利用
・機内サービスのノン・フリル化・有料化
・販売の簡素化(ITの活用)等により低運賃化とコスト効率化を図るビジネスモデル
で、
旅客が徒歩で航空機に搭乗する方式
小型機に対象を絞りスポットを集約化(一部は大型機対応)
自走イン・アウト方式の採用 などを行っているそうです。
日本のLCCとしては、ピーチアビエーション、ジェットスタージャパン、バニラエア、春秋航空日本があり、2015年には、国内線のLCC利用率は約10%になり、若い世代で利用が広がっているということが分かりました。また、ピーチアビエーションの第2拠点化や海外LCCの新規就航により、LCC旅客数シェアの増加が予想されるのだそうです。
次週は、ピーチアビエーションから講師を招き、日本初のLCCについてお話いただきます。
文責:観光産業科学部 宜志富知恵子