【講義】10/13 第2回交通サービス概論
2017.10.19
第2回 交通サービス概論 担当:平野典男
外部講師:日本トランスオーシャン航空株式会社 路線事業部 大城怜氏
第2回は、日本トランスオーシャン航空株式会社(以下、JTA)路線事業部の大城怜様から航空会社のマーケティングについてお話を伺いました。
まず、マーケティングは、売るための手法ではなく顧客の心を理解することである、顧客はモノやコトに対してお金を支払っているのではなく価値に対してお金を支払っている、というお話がありました。
そして、その価値を提供するプロセスには、環境分析(どこで)⇒セグメンテーション・ターゲティング(誰に)⇒ポジショニング(何を)⇒マーケティングミックス(どのように)の流れがあるとの説明を受けました。
セグメンテーションの手法としては、人口統計区分、行動的区分、心理的区分があるが、前二者だけでは不十分で、顧客をニーズや購買決定要因(KBF)で分ける心理的区分が、顧客の心を理解するうえで重要だということでした。
購買決定要因(KBF)は、機能的な価値、感情的な価値、目に見えるブランド、目に見えないブランドの4つに分けることができる。顧客ニーズを把握するためにはどれか1つのカテゴリーに偏ってしまっては見失う可能性がある。同じようなニーズをもつ人達でグルーピングしてセグメンテーションを行い、自社の強みや市場の環境を分析しながら狙うべきターゲットを定める必要があるとの説明がありました。
ここで、個人ワークの時間となり、各学生に価値観セルフチェックシートが配られ、自身がどのタイプなのか判定するように指示がありました。その結果は、自己達成型が5名、浪費・流行快楽型が10名、社会良識型が1名、中庸平穏型が20名で、琉大生は現状維持を良しとする中庸平穏型が多いようでした。この作業を通じ、学生達は自分がどんなパーソナリティで、どんな価値観をもっているかを再認識できたようです。狙うべきターゲットのKBFだけでなく、このような生活における価値観を把握することで、効果的にアプローチが可能とのことでした。
次に、JAL、JTAではこうしたKBFによるグルーピングによりフライトエリート、利便性重視派、価格重視派、評判フォロアーなど8つのグループに分類しているとの説明がありました。
その説明のあと、学生達は6つのグループに分かれ、ディスカッションを行うことになりました。ディスカッションのテーマは、フライトエリート、利便性重視派、価格重視派、評判フォロアーという代表的な4つのグループ内、どれを最優先ターゲットに定めるか、またその理由と具体的な施策についてグループでまとめ発表を行うというものでした。
まだ第2回目ということで、知らない学生同士、最初は遠慮がちに話をしていましたが、次第に熱を帯び、自由な意見が飛び交うようになりました。発表では、フライトエリートをターゲットに、高級感がありスタイリッシュなインテリアにしたり音楽やアロマなどを流したりして五感に訴える客室環境を整える提案があったり、価格重視派をターゲットに、SNS 映えがするように季節ごとにライトアップを変える、といった若者ならではの提案があったりしました。また、ジンベエジェットの客室を、ジンベエザメの胎内にいるようにデサインにしては、という奇抜なアイデアもあって、楽しいグループワークになりました。
学生達は、こうした個人ワークやグループワークを通じて、マーケットについての理解が深まるとともに、普段目にする乗員や空港のスタッフだけではなく、日々お客様のニーズを考えて試行錯誤しながらマーケティング戦略を練っている間接部門のスタッフもいると知り、航空会社に対する関心が高まったようでした。
文責:観光産業科学部 教授 平野典男