【講義】6/30 第10回宿泊サービス概論
2016.07.04
第10回宿泊サービス概論 担当:平野典男
今回は、旅館経営の現状分析ということで、旅館業法における、ホテルと旅館の定義について説明がありました。
「民泊」の多くは、旅館業法上は違法ですが、2020年のオリパラに向け、宿泊施設が不足なのは必至で、特区で緩和することや、法改正の動きがあるということでした。
旅館の軒数は年々減少しており、その原因として、以下の6点があげられるそうです。
1.旅行形態・需要の変化
・職場・地域などの団体旅行から、家族、友人などの個人旅行に変わってきている
・社員旅行の減少(大部屋に詰め込めば詰め込むだけ利益になるという仕組み)
2.宴会離れ
宴会があると、
・アルコール類の消費が多く、利益になっていた
・大皿料理がメインで、盛り付けを考慮せず並べておけばよく、効率もよかった
・多量一括仕入れでコストダウンが可能だった
少人数で宴会がないと
・部屋食になり、調理・盛り付け・配膳など配慮と手間がかかる
・官官接待が非難の対象になり宴会ブームが去った
3.景観
温泉街では、宴会が主で温泉は添え物だったため、外見にこだわらず拡張競争をしてきたため、電線がむきだし、複雑怪奇なコンクリートの建物、派手な看板など景観を阻害している
4.情緒の劣化
温泉街には、共同浴場、その周囲に旅館、土産物店、飲食店、歓楽街、風俗営業などが立ち並んでいたが、旅館の不振により、廃墟同然の建物が並ぶエリアも見られるようになってきた
5.エージェント依存、インターネット対応の遅れ
個人でのネット予約が増えていくにつれ、代理店を通さなくなり、ホテルなどのネット予約ができるところに、客が流れている
6.経営者側の問題
・経営者の高齢化により経営意欲の低下がある
・後継者不足
・建築基準が新しくなり、今までと同じ建坪率で建てられないものが多くなったことで、
建物を改築できず老朽化している
旅館業の課題として、事業再生、旅館商品の差別化、マーケティング、訪日外国人客の受け入れがあり、うまくいった例として、「湯の宿 いづみ荘」「黒川温泉」「澤の屋旅館」を取り上げ、マーケティング、差別化、外国人客の受け入れ方などの実例の説明がありました。
次回は、7/4(月)8:30~11:50 法文新棟215教室で行います。
ヒルトン・ワールドワイド 開発統括部長 日本地区担当 藤本博久氏をお招きし、
1限、2限連続講義を行っていただきます。曜日も教室も変更ですので、間違えずに来てください。
文責:観光産業科学部 宜志富知恵子