【講義】11/1 第5回物流サービス概論
2016.11.04
第5回 物流サービス概論 担当:知念 肇
外部講師:沖縄ヤマト運輸株式会社 代表取締役社長 赤嶺真一氏
今回は、沖縄ヤマト運輸株式会社 代表取締役社長 赤嶺氏をお招きし、講話いただきました。
モノと思いを運ぶ「宅急便」ということで、まずは宅急便のしくみからご説明いただきました。
宅急便は、1976年に11個の荷物を運ぶことからスタートし、2015年度には17億個以上の荷物を運んでおり、クール宅急便が開発されてから、買う側だけでなく、売る側にも、販売戦略上の武器となり、右肩上がりに伸びているそうです。
また、3割は通販が占めており、通販と一緒に成長をしてきているということでした。通販で買った際、買う側は「すぐに欲しい」と思っており、即日配達を実現してきたそうです。
宅急便は、トラックと人さえいればできるというイメージを持ちがちですが、荷物の仕分け、追跡サービス、代引きなどの決済技術など、IT技術も多く取り入れられているということでした。
次に、沖縄国際ハブの説明がありました。沖縄国際ハブは、日本国内およびアジア諸国から24時間通関対応をしている那覇空港に、深夜、荷物を積んだ航空機が一度に集まり、一度に下し、飛んできた地域・国宛の荷物を積み込み、戻っていくというシステムで、那覇空港から国内、アジア主要都市に4時間以内という距離にある沖縄の、立地を生かしたシステムなのだそうです。これにより、夕方とれたフルーツや海産物が翌日には各国に届き、鮮度を保ったまま、アジア諸国の飲食店等で提供できるのだそうです。
また、沖縄ヤマト運輸には、サザンゲートというグローバルロジスティクスセンターが
那覇空港近くにあり、そこでは、保税状態のまま加工、修理、印刷、洗浄などの作業や、緊急パーツの保管もやっており、受注〆切時間が伸ばせる、JIT(Just In Time)での供給可能、保税状態のため、関税なし、輸入手続きなし、消費税なしで物流に係る費用がコストダウンできる、海外と同じリードタイムで、「Made In Japan」が手に入るという多くの付加価値も提供しているということです。
最後に、全国に5万人もいるセールスドライバーは会社の財産であり、すべてのドライバーが名前で呼ばれるようになるよう、人材の育成をしているというお話がありました。
全国のドライバーから寄せられた、「ありがとうと言われた時」のビデオをみて、社訓にもなっている、「運送行為は委託者の意思の延長と知るべし」という言葉のとおり、宅急便は、荷物を運んでくるだけでなく、そこに込められた思いも運んでいるのだということが分かりました。
文責:観光産業科学部 宜志富知恵子