【講義】11/22 第8回物流サービス概論
2016.11.30
第8回 物流サービス概論 担当:知念 肇
中国では今、EC(電子商取引)が盛んである。とりわけ「独身の日」と呼ばれる11月11日は、国を挙げてのイベントとなっている。中国ネット販売最王手のアリババの今年の売り上げは、1兆9,000万円に達した。
さらに最近の傾向として「越境EC」により、外国の優良製品をネットで購買する中国の消費者が、増えている。ネットで注文される商品は、あらかじめ中国国内の自由貿易とっくに保管しておくか、注文が入り次第、日本より発送する。ネット画面上では、日本国内での販売価格も載せてあり、それより少し高いが、爆買いのための旅行代金を考えれば割安と感じる人々が多い。
このように一見、日本製品が売りやすくなったように見えるが、実は、売れるのは資生堂、花王といったブランドを確立した大手メーカーのみで、海外での販売に慣れていない弱小ブランドは苦戦をしいられている。そこで、アリババは日本企業を集め、中国ネット販売で売れるためのノウハウを伝授する活動を始めている。製造元や含有物の詳細な紹介やインターネット・テレビを使った実演などが効果的である。
次に、香港では日本食品が人気であるが、1960年代後半から販売されている日清食品の「出前一丁」がインスタントラーメン市場の6割を占めている。日清食品では、外国での食品の販売成功の秘訣として以下の項目を挙げている。
- それぞれの海外法人に開発部隊
- 日本人と現地人の混成チーム
- 現地で話題の店を食べ歩き
- モデルとなる店と味を設定
- 消費者の声を聞きながら商品化
- 売れ行きを見て、必要なら手直し
地方の中小企業にも十分に可能性があると香港大手卸企業は言う。鹿児島の食品会社の例でいうと、日本の大手ブランドが埋めきれないニッチを開拓することである。最後に、沖縄の泡盛についても、ミラノから食品輸入業者が来て、味を宝石のように絶賛していた。
物流システムは既に整っているので、沖縄の企業もアジア展開を本気で考える時が来た。
文責:観光産業科学部 教授 知念肇